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画家は食えないと言われる、実際に活動してみて考えること


こんにちは、イチノセダイチ(ichinose_daichi_paint)です。


画家は食えないとは聞きますが、
実際のところどうなんでしょうか?

ということで、この記事では統計データなどからみる芸術家の数と
イチノセが活動してみて思うところも合わせて記しておきます。


・芸術関係の大学生の数
・「芸術家」の数
・実際活動してみてどうなのか




について
これから大学を卒業して作家を志望している方
就職しながら活動を考えている方
はおつきあいください。

「食えている画家」は30~50人だけ?

2021年9月のNewsweekの記事で完売画家として著名な中島健太さんの記事が掲載されました。
タイトルが「日本で「食えている画家」は30~50人だけ 完売画家が考える芸術界の問題点

こちらの記事に触発されて今回の記事に至りました。

ほんとうに30~50人だけなのか?
ここでいう食えているとはなんなのか?

疑問に感じたからですね。

日本にはどれくらい「芸術家」はいるのか



こんかいは芸術関係の大学生の人数や
作家志望の割合や「芸術家」の数をみていきます。

・年に芸術関係学科に入学する人数
・そのなかから何割が作家を目指すのか?
・統計による「芸術家」
・フリーランスの絵描きとして活動して思うところ



ここでいう「芸術家」はデザインやアート関連の職に従事している人ではなく
画家や彫刻家、アーティストをしている人なのでお間違いなく。




年間に大学への芸術関係学科への入学者は1万9千人



2019年の学校基本調査によると、


芸術関係の学部・学科に入学を希望する学生7万5千人
そのうち実際に入学したのは1万9千人もいるとのこと近年は年々学生数が増えているようです。


就職できないイメージの払拭やアニメや漫画などの影響からか、芸術関係の学科が目に入りやすくなっているのでしょうか。

学校基本調査2019

1割前後が作家を志望している



学校基本調査では作家志望をしている学生数がわからなかったので、
多摩美の卒業者別就職状況をみてみました。



2019年、1005人の美術学部(デザインなど含む)卒業生から作家志望の卒業生が74人。


1割程度作家志望(働き方としてはバイト・無職を含む?)として卒業していく。


僕は別の大学出身ですが、実際に作家志望として卒業したのは1割だったので、
他の大学でも大きくは外れないだろうと考えました。


なので1万9千の入学者数から、中途での退学者などを差し引いても、
毎年1000人程度作家志望者がいるんじゃないだろうか?とみました。


全国に毎年1000人も作家になりたい人はいる。



2020年現在、若手作家ブームだとかで、若手の画家がフューチャーされていますが、
多くても卒業すぐにブームに乗れるのは数十人だろうし、


残りの900人はどうやって活動していくか悩みながら卒業していくことになります。

武蔵野美術大学 2019卒業生数と進路

「芸術家」の人口は4万人程度いる


平成27年の文化庁のデータによるとおおよそ40万人前後の芸術家がいて、
そのうちの4万人が彫刻家・画家・工芸美術家だそうです。


ここでいう芸術家は国勢調査において芸術家と記入した人が対象ですね。

※『芸術家』とは、国勢調査において職業欄に「著述家」「彫刻家・画家・工芸美術家」「デザイナー」
「写真家・映像撮影者」「音楽家」「舞踊家・俳優・演出家・演芸家」のいずれかに該当すると記入した人。

芸術関連データ集より引用




そのうちどれくらいが、実際に所得を得ているのか、気になったが調べてもでてこずでした。



4万人はファインな芸術家を自認している。

しかも1000人程度が毎年毎年、作家志望として世に出ていきながら
よく聞く、活動している人も含めて食えないと言われる状況。

なんでそうなるんだろうか。

文化庁 芸術関連データ集

実際は個人事業主やフリーランスと言われる働き方


仮に画家として活動していくときに、卒業してから気づくのは、


多くの場合、芸術家も個人事業主やフリーランスおなじく、
会社などの後ろ盾なく個人で脈や活動を探していかなければならない、ということ。



王道といわれているのは、プライマリーのギャラリーの取り扱い作家になること。
中島健太さんのいう「プロの画家」もそういった動き方のことです。


冒頭にでた「日本で「食えている画家」は30~50人」の文字。
「プロの画家」という機能・業界で食べていける画家の数、とみています。


そして実際に活動をすすめてみてわかったのは「プロの画家」でない
いわゆる「インディーズの画家」では食べている人はもっと多くいるということでした。






ギャラリーの取り扱いになるということは、作品の販売をギャラリーが肩代わりしてくれるということです。
そこに辿り着くまでには基本的には個人の活動をつなげていくことになります。



現代は個人作家でも活用できる発信の方法が格段に多くなりました。
SNSや個人メディア、ファンクラブなども個人ですぐに立ち上げられます。
「プロの画家」は絶滅危惧種かもしれないが、「インディーズの画家」が台頭する時代だとも読めました。



ギャラリー以外の稼ぎになる入り口が見つけられないと、
身動きがとれなくなって結果「画家は食えない」と諦めることになります。






絵は純粋であれという謎



世間では不思議なことに、「絵は純粋でなければ」「お金のことなんて考えちゃいけない」「不純でダメ」
などの言説を言う人がいます。



マネジメントする人がそばにいて、助言や手助けをしてくれるなら、純粋な状況でいれますが
大抵の場合はそんなこと言っていたら自ら「食えない」の道に突っ走っているようなものです。


活動や制作にもお金がかかるので、思っているよりお金や戦略を考えることもでてくる。


パトロンや味方がいれば「純」でもいられるだろうが、そうでない場合、いわれている言説に構ってはいられない。
あまり目に入らないようにしていた「お金」にも少しずつ触れていかないといけない。


実際にインディーズの画家として体を動かしてみてわかることでした。

「生活」は別でおぎないつつ活動する


「食えない」状況を解決するために多くの場合、「絵」や自分がもっているスキルに関する仕事をして
生活はおぎなっていくことになります


多くの場合は、先生や講師業、またはデザインを選択していくわけですね。


完全にフリーで稼ぐとなると、手段をみつける必要が出てきます。

実際問題、絵だけの収入だけで「生活」するのは難しい


「芸術家」として活動している人たちがどれだけの稼ぎを得ているかの分布は探し出せませんでした。


が、多くの場合は「芸術家」として活動しながら、バイトやパートなどと含めて二足のわらじを履いている方が大半じゃないかと。


実際にできあがった「絵」だけで生活するのは厳しい状況ではあります。
前述したように稼ぎの入り口を別でつくりながら、生きていくのがいい。

作品をつくること以外が悪いことではない。


伝えておきたいのは、絵を描いてそれだけで生活することだけがすべてではないということ。

僕もそれを目指してはいます。が、そこに執着してしまうと広がりがなく、
どん詰まりで結局諦めてしまうことが多くなるだろうと感じています。

作品だけではなく多くのことに手を広げながらメインで絵を描いているという状態が好ましい。


活動しはじめた当初は「自分が好きな作品を描くこと以外はイヤだ。」


と思っていたが多くの人に届けたり自分を知ってもらうためにブログをはじめたり、
他のことしたりと少しずつ自分のなかで許せる範囲が広がっていっているこの頃です。

ギリギリのラインを構築しながら生きる


そんななかでも就職せずに描き続けて、発表していく道を選ぶ人にお伝えしたいことがあります。


あなたが不自由なく生きれる程度のギリギリのラインを探しながら


少しずつ余裕を生んでいくことをしてほしいということ。


いつまでも、働いてあまった可処分時間で制作して…コンペにだして…


では、引っ張ってくれる人がなければ抜け出せない。
抜け出せなければ諦めたときに脱落するだけになってしまう。

コンペに出すことを止めはしないが、コンペで賞も目指しつつ違うところにも力を割いて欲しいと思います。

まずは生活コストで土台をつくろう。


「ゆるく生きながら描いていく」


僕の現在の理想は、「時間」や「お金」に左右されず絵を描きながら作品を届けていくことです。


そのために少しずつ余裕を生み出そうとしています。
まだ完全に、とはいえないが少しずつ確実に近づいていると信じています。


あなたもこれから動き出すなら、破綻しない生活を目指しながら活動していってほしいです。
あなたの理想を実現するために動いていきましょう。



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