水性や油性など多くのインクが画材として現代で使われています。
現代に出回っている以前は何をインクにしてペンを使っていたのか?
また西洋の画家たちはどういったインクで絵を描いていたのか?
西洋の画家たちに主に使われていたインクをみていきましょう。
目次
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様々なインク
インクは文字を記すため古代から利用されてきました。
様々な原料をもちいインクは製造されていたようです。
油煙 木炭 骨 象牙
などを燃やして煤(すす)を集めて文字を描いていたようです。
他にも
植物の種 樹脂
などもインクとして利用されていました。
特によく使われていたのは没食子インク、ビスタ、墨、セピアです。
没食子(もっしょくし)インク
19世紀まで画家たちの素描に最もおおく使われたインクだといわれています。
カシやブナにできた没食子(虫の産卵寄生によってできるコブ)
に含まれるタールを原料に作られています。
インクの色は描き初めのうちは青みを帯びた黒ですが、
次第に褐色に変化していきます。
強い酸性のため、紙が傷み、穴や裂け目ができやすい
といった特徴をもっています。
ビスタ
木を燃やしたススに含まれる水溶性タールを使ったインクです。
インクは褐色ですが原料となる木によって色味が異なり
茶色がかった黄色から黒に近いものまでヴァリエーションがあります。
墨
中国や日本といった国でも古くから使われてきた墨は、
樹脂などを燃やしたススと膠(にかわ)を混ぜることで作られています。
ヨーロッパでもこのようなインクは製造されていましたが、
17世紀にインドに拠点を置いたオランダの東インド会社が
中国の墨を輸入するようになりました。
品質の高さゆえに非常に画家たちに愛されたようです。
セピア
セピア色でおなじみのセピアはイカの墨(イカスミ)を原料とする
褐色系のインクで、主に水で薄めて絵を描くのに用いられたようです。
あずき色がかった褐色から黒ずんだ褐色までヴァリエーションが多様です。
とくに19世紀初頭以降に流行しましたが、それ以前にも使用されていたことが分かっています。
さいごに
人類は物を燃やすことで得られる原料や種子などを原料としてインクを作ってきました。
そのなかでも西洋の画家たちが使っていたのはこの4つ
没食子インク ビスタ 墨 セピア
墨以外はどれもあたたかみのある褐色が主流だったようですね。
美術館でインクを使った素描作品を見るときは
「これはなんのインクだろう?」
と気にして見ると楽しみ方が増えるかもしれませんね。