油絵具の乾きはなぜ遅い?理由と対処法

アクリル絵具や透明水彩といった水彩絵具になれてから初めて油絵をはじめると、乾くのが遅いなあと思ってしまいますね。

 は高校で初めて油絵を触り、乾きの遅さへの対処がわからないまま
ずっと絵具を触って絵を汚していた記憶があります。

水彩絵具と油絵具の違い

水彩絵具のばあい

水彩絵具は色の粉(顔料)とのり(接着剤)が水に混ざった状態で市販されています
混ざった水分が蒸発して、顔料をのりが固定することで色がつくんですね。

蒸発したあとは水分のぶんだけ絵具の体積がへります。

油絵具のばあい

油絵具はのり(接着剤)が乾性油と呼ばれる油です。
この油は酸化、空気に触れることでじわじわと固まっていくのです。

油がそのまま固体となるので体積が減ることはありません。

絵の具の違い

色を接着するノリ成分が違う
水彩絵具はアラビアゴムなど
油絵具は油

乾燥時間はいろいろなことが影響している

塗ったときの絵具の厚さ。

油絵具は空気があたる外側から乾燥していきます。
そのため厚くるとそのぶん中が固まるまでに時間がかかってしまうのです。

薄めに塗れば1日で

厚く盛れば2~3日で長い時には一週間程度かかります。

油絵具は表面から乾く

油絵具は表面から先に乾いて、ジワジワと中身にうつっていきます。
表面が指で触れる状態になることを「指触乾燥(ししょくかんそう)」といいます

顔料やのりとして使う油の影響。

顔料によっては、顔料そのものが乾燥を早めるもの(金属酸化物)があります。
逆に油の乾燥を遅くしてしまうものもあります。


油はペインティングオイルと呼ばれる調合油などでも一般的に
リンシードオイルやポピーオイルが使われています。

乾燥時間はリンシードオイルの方が早く

ポピーオイルはリンシードオイルの1.6倍乾燥に時間がかかってしまいます。

油を調合する

油は自分で混ぜることができるので、乾燥時間や画面の調子を変えたい時は、油の配合で調節するのがオススメですね。

最近ホルベインが好みの油を調合してくれるというサービスをはじめました
自分で混ぜるのは不安という方はこのサービスを使うのもアリ

あぶLABO

温度や湿気でもかわる。

油絵具は気温に影響をおおきく受けています。
暑いほうが乾きが早く、寒いと乾きが遅くなってしまいます。

油絵具は夏は乾きが早い冬は乾きが遅い


湿度も影響していて、一番油絵具にいい季節は初夏と秋のころがコンディションがいいようです。
むりやりでも早めたいときはカイロを貼るなんて手段も…。

乾燥を意図的に早めたいときは

速乾性メディウムを使う

速乾性の樹脂を使う方法です。

ホルベインからは「ラピッドメディウム」「ストロングメディウム」「透明メディウム」が販売されています。

混ぜる量が多いほど乾きが早くなり、量の制限もありません。
代わりに透明度がましたり、色のツヤがかわってしまうので注意が必要です。

速乾メディウムは不透明な絵具でも混ぜすぎると透明度がたかくなるので扱いづらくなります。


よく混ぜて薄く絵具を塗った場合は数十分で乾くので
使い方によっては制作のスピードがとても早くなりますよ。

シッカチーフなどの乾燥促進剤を使う

シッカチーフは油が空気をとりこんで乾燥するのを早めてくれます。
無色透明なものと褐色のシッカチーフが販売されています。

色が影響してほしくないときは無色透明なものを
気にしないときは褐色を使うといいでしょう。


褐色のもののほうが強力に乾燥を助けてくれますよ。


乾燥するとシッカチーフの色はなくなりますが、

焦りすぎて多く混ぜると絵具が割れたり縮んだりするので、
適量をつかうことが大切です。

ホルベインのシッカチフ

透明無色 → シッカチフブラン
褐色 → シッカチフクルトレ

さいごに

油絵具の乾燥についてみてきました。

  • 油が酸素をとりこむことで油絵具が固まる。
  • 使用する油によっておおきく乾燥時間がかわる。早いのはリンシードオイル
  • 暑い早く乾き、寒いと時間がかかる
  • 乾燥を早めたいときは速乾性メディウムシッカチーフをつかう。

油絵具の乾燥にはいろいろな要素が影響することがわかりました。

てっとりばやく乾燥させるならメディウムやシッカチーフを
頑丈な絵にしつつ早めたいなら油の配合を見直してみる。

乾燥について理解が深まれば描くのが楽しくなりますよ。

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